メニューの決定
準備段階で構想していたお店のメニューは、この段階では決定させておきましょう。
メイン&サブの法則
メニュー構成づくりのポイントの一つに、メイン&サブの法則があります。
カクテルをメインとしたメニュー作りの場合には、まずは主役(メイン)のメニュー群を決めたら(例:華やかなフレーバーが特徴のワイン系カクテル)、次に脇役(サブ)群を決めます(例:ワインカクテルにぴたりのおつまみ、フードメニュー)。
また、カクテルメニューは別格として捉え、食事の時間やティータイムに複数品選んでもらえるよう、バーの雰囲気を活かしたランチメニューを用意したり、カフェバーらしく紅茶やコーヒーのリキュールを使ったティータイムでも楽しみたいカクテルなどをメニューにしてもよいでしょう。
店の顔となるメニューを作る
また、コンセプトから外れない範囲で、お客さんが興味を持ってくれる店の顔となるメニューもあるとよいでしょう。例えばフードメニューの場合には、「スペシャルカクテルとのマリアージュが毎日日替わりで楽しめる」、「素材をオーガニックにこだわっている」、「無農薬の新鮮な野菜やハーブを使っている」、「フランスから直輸入のチーズが揃っている」などが、お客さんの目を引きやすくなります。
また、近年の健康ブームを考慮して、オーガニック素材やスパイスなどを使用した体に優しいフード、美容に効果のあるカクテルもお勧めです。女性の間で話題となりやすく、メディアでの注目度も高くなります。
こだわりポイントを作り差別化と話題性を高める
ただ、素材にこだわるとどうしてもコスト面で費用が高くなるため、原価率も考慮して経営計画を立てる必要があります。価格設定が高いと、客層が偏ったり注文が入りにくくなり兼ね合いが難しいですが、もともとこだわりのバーやカフェの価格は高単価ですので、質にとことんこだわるという方法もひとつの差別化です。
バーではカクテルやお酒とともに食べるフードも差別化の一つの方法です。夜だけでなく日中も店舗が使用できるのであれば、ランチタイムなどにはお得なランチメニューを用意するというのも一つの方法です。美味しいフードは評判を集めやすく、お店の雰囲気が伝われば夜も足を運んでくれるお客さんが増えます。
仕入れと価格設定
仕入れ業者を選ぶ
仕入れには、いろいろな方法があります。安定して割安に食材を提供してもらえる食材業者と契約をしましょう。こちらも候補が複数ある場合には、見積もりをとって比較します。
お酒の仕入れはもちろんですが、フードやカクテルに使用する果物や野菜などの生鮮食品は鮮度が命なので、できるだけ地元の業者さんを使って調達しましょう。仕入れ業者を選ぶときには、以下のポイントを参考にしてください。
仕入れ業者を選ぶポイント
- お酒や食材の味や品質
- 価格
- 納品回数(できれば毎日が理想)
- 納品時間が自分の都合に合うか
- 支払日
自分で育てる
新鮮な野菜や少量をコンスタントに使用するハーブなどは、自分で育ててみるのもコストを抑える工夫の一つです。ハーブなどは、手間もかからずにたくさん収穫できて用途も多様でカクテルには欠かせません。自分で作ったものなら、自信を持ってお出しできますし、「自家栽培」「手作り」はイメージアップにもなるでしょう。
価格設定
食材を確保する目途が立ったら、今度はいよいよメニューの価格設定です。
売価計算
売価は、「周辺の相場」と「原価率」から判断します。
まずは、周辺の相場を確認しましょう。こだわりのものだから高くする、ということもあるかと思いますが、周辺の相場はある程度その地域の人たちのニーズを反映しています。その商品がどんなに素晴らしくても、その「素晴らしさ」をその商品に求めている人がどれだけいるだろうかということを冷静に考えましょう。
原価率
次に原価率ですが、これは「原価÷売価」で表されます。
飲食店の原価率は、業種・業態によって異なりますが、一般的にはドリンク、フード平均で20%~35%ほどが目安となります。フード原価はどうしても高くなる傾向にあるため、ドリンクで20~25%程度に原価を抑えることで平均原価を抑えることができます。
しかし、小さなお店の場合にはそうもいかないこともあり、これを大きく上回ってしまうこともあります。たくさんの注文が出るメニューを設定する、食材のストックを出さないようにするなど、工夫をしましょう。
お酒の場合には使用期限が長いためあまり意識しませんが、フードの食材はロス分も考慮に入れてなるべく平均原価は30%以内に抑えることが大切です。最初はよく分からずざっくりしたものとなったとしても、おおよそ感覚で30%ぐらいに収まってれば経営はできるでしょう。
固定費・変動費・損益分岐点
経営を軌道に乗せるためには、「固定費」と「変動費」を把握し「損益分岐点」を明らかにしておくことが重要です。
「固定費」とは、毎月必ずかかるお金のことで、家賃や人件費、融資の返済などがあります。「変動費」は、仕入れの費用や光熱費などです。この2つから「損益分岐点」を求めます。これは、売り上げと必要経費がほぼ同じになる、ギリギリのラインのことです。なお、損益分岐点を算出するための計算式は、次の通りです。
損益分岐点 = 固定費÷(1-変動費率)
※変動費率:利益に対する変動費の割合のこと。したがって、変動費÷売上高で求めることができる。
売上目標額
「売上>必要経費」の場合にようやく「利益」が出るので、そこから売上目標金額を決めることができます。売上高は「客単価×稼働席数×回転率×営業日数」で算出します。
こうした経理については、慣れないとなかなか面倒で億劫になりがちですが、確定申告の際などにもこうした経理データは必要となるので、きちんと処理をする習慣をつけておきましょう。

