Lesson17-2 開業のために必要な準備

想いや意思が明確になってきたら、次は具体的な準備へ

好きを仕事にするための想いが明確になってきたら、次は具体的な準備へと思考を進めて行きましょう。どんなに想いが強くても、実現のためには難しい問題を考えずに、夢を実現させることはできません。

Arina P Habich/Shutterstock.com

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①資金

まず最初に現実的なこととして、考える必要があるのは資金面でしょう。開業資金には、一般的に下記のような費用が必要となります。

開業資金として必要なもの

  • 店の家賃などの店舗取得費
  • 内装費用
  • バーカウンターやキッチン設備、食器類の費用
  • 宣伝費
  • バー・カフェ開業に必要な届出のための費用
  • 従業員を雇うなのら人件費
  • 事務用品などの備品費・・・など

最初の3つの項目が大きな金額になることが多いですが、まとまった資金がどのくらい必要なのかは、お店に求める条件によっても大きく変わってきます。しっかりとマネープランを立てることが重要です。

どのようなお店をつくりたい?

  • 立地条件
  • 物件の設備
  • お店の規模やコンセプト・・・など

バー・カフェ開業のために必要な資金は幅があります。20坪の店舗で1千万円が目安だといわることもありますが、中には200~400万円程度で開業している方もいらしゃいますし、開業資金が自己資金か融資かでも必要額が変わります。

自己資金が少ないとお店の開業はできないと考える人も多いと思いますが、実際はそうではありません。また自宅の一部を改装した即席カフェバーや、一室を使ってのカクテルサロンなど、実は様々な方法があるのです。

具体的にいくらあれば安心?

少ない資金で始められるとは言っても、あまりにも少額ではできることが限られてしまいますし、精神的にも不安が残るでしょう。最低でも400万円程度は自己資金として準備できるとよいでしょう。1000万円程度準備できると、何事にも余裕をもって進められます。

融資を受けるにしても、自己資金は必要となります。自己資金が多ければ多いほど、受けられる融資額も大きくなり有利となります。

資金をためながら現場で働くという方法

資金面や経験との兼ね合いを考え、実際に・バーやカフェなどで働く方も多くいらっしゃいます。こちらは時間的なゆとりがあることが必要となりますが、給与をもらいながら現場での貴重な経験が詰め、さらに先輩からいろいろな手ほどきをしてもらえるなど、メリットは多くあります。

開業に飲食店での接客・調理などは絶対条件ではありませんが、この経験は開店するときの自信にも繋がり、早く自分のお店を持ちたいというモチベーションのアップともなります。その際には、できるだけ自分のコンセプトに近いお店や、経営や接客体制など多くのことを学べるお店を探してください。

Nykonchuk Oleksii/Shutterstock.com

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②コンセプト

資金のことを考える際、お店のコンセプトも大切な要素となります。開業する理由、どんなお店にするか、主役となるカクテルメニューやフードは何かといったコンセプトを一つ一つ明確に決めていきます。これが決まれば、だいたいお店の規模も見えてきますので、必要な資金を具体的に計算する段階に進むことができます。

じっくりと時間をかけてお店のコンセプトを考えましょう。

 

コンセプトを決めるための自己分析と求める要素の分析

お店のコンセプトは、あなたの個性が活きることが大切です。そのためにもまず、自分は何が好きで、どんな経験があるのか、何が得意で自信があるのかといったことを明確にしましょう。それをそのままお店に反映させればよいのです。これは大切な自己分析の工程です。

最初は、何となくといった雰囲気を決めるところから初めてもよいでしょう。例えば、静かで落ち着けるお店にするのか、活気のあるにぎやかで楽しいお店にするのか、カクテルを魅せるお店にするのか、アメリカ西海岸スタイルのスタイリッシュカフェバーを目指すのか。それを決めるだけでも随分と方向性が見えてきます。方向性がつかめたら下記の項目においてより具体的にしていきましょう。

コンセプト決めのための5W1H

  • Why? なぜお店を開きたいのか
  • What? メニューは何にするのか
  • Where? どこに出店するか
  • When? いつ開店するか
  • Whom? どんな人に利用してもらいたいか
  • Who? 誰と始めるのか(共同経営か、個人経営か、スタッフは何人雇用するのか)
  • How to? どのような方法でビジネスを行うのか(どんなお店にするのか)
  • How much? 必要な資金はいくらか

頭の中で考えているだけではなく、紙に書いたり、パソコンに入力してみたりして、アウトプットすることが大切です。アウトプットしているうちに、考えがまとまったり、疑問点やあいまいな点も見えてきたりします。

 

③メニューの構想

コンセプトを明確にした後は、看板となるカクテルメニューやフードメニューをイメージしてみましょう。
準備段階で、すでにメニューを決めるというのはちょっと意外かもしれませんが、これが決まらないと実は資金計画も立てることができません。

メニュー決めの重要性

作りたいメニュー、得意なカクテルや好きなお酒から、コンセプトを決めることもできます。またメニューが決まることでコンセプトが明確になる場合もあります。これを決めると、自然に必要資金予算の目安もつきます。

例えば、「ワインやワイン系のカクテルをメインとした、ゆったりした時間が流れながらも現代のスタイリッシュさもとりいれたお店にしたい」というイメージを持ってお店を開業することを目指す時、必要なメニューは何でしょうか。

  • ワインは、何種類くらい用意しますか?
  • ワインベースのカクテルはいくつメニューを準備しますか?
  • 自分のオリジナルカクテルメニュー開発をしますか?
  • ワインベース意外のカクテルはおきたいですか?
  • フードは何種類を基本にしますか?
  • グラスや内装にはどの程度予算をかけたいですか?
  • バーカウンターや店内のカーテンやクロスは?・・・など

何をどのくらい提供するかを決めないと、資金の予測が立てづらいのがお分かりいただけたでしょう。さらに、表に見えないキッチンにおいても

  • 厨房やバーカウンターはどのくらいの広さが必要か
  • お酒をストックしておく棚やセラーはどれくらいの大きさが必要か
  • グラスを保管する棚は?
  • 必要な厨房の大きさを除いた店内のスペースはどのくらいか?

などといったことも見えてくると、自分のお店全体として必要なスペースも見えてきます。これは物件を探す時に、とても大切な要素となります。

このように、「看板カクテルメニュー」や「提供したいもの」「店のイメージ」をしっかりと決めることによって、開業予算について具体的な数字をはじき出せるようになります。

夢の現実性のバランス感覚を忘れない

最初のうちは「夢」を追いがちです。夢は大切ですが、冷静に計画を立て、資金を算出することは地味な作業ながら、もっとも肝要なことです。これも積極的にアウトプットをして、まとめていくようにしましょう。